2010,11,20追加
こう言う投稿がございましたのでお答え致します。
先ず、「大規模災害」「アマチュア無線」「土のうでも積みに行く」を論点にご説明しましょう。
さて、災機の統一基本には「大規模災害」とは一言もうたわれていません。活動枠としては「当該活動」「支援活動」「その他の自主活動」とされ、統一基本の項にも、「地震」に固執した活動とはうたっておりません。
民防「D-Book」にても、噴火の件を書かせて頂きましたが、避難誘導を呼び掛ける際、住宅密集地なら大声で「次はこっちに行く!」「そこは声かけたよ!」の肉声が使えるのですが、農村部落だと、戸口から戸口までの距離がかなりあるんです。こんな時、やっぱり通信機が役立つんですよね!
しかも「オペレーション」だけの活動ではありませんし、これが豪雨だと雨音の中では肉声も届きませんから…。
もちろん、「土のう」の積み上げまでの行程にも活用できますよ。
当然ですが、統制が得られるまでの間は、その場に居る方々で対処する事になります。
我々は当事者となった際、通信機を使って活動者の潤滑油となるのが役目なんです。そこで活動隊へは、「防犯」の巡回時でも、「通信を軸とした動き」をお願いしています。
簡単に言えば、住民が身体を使った活動時には、連携を保つ為の「連絡手段」が必要。⇒ならば手持ちの通信機を使おう!この部分の穴埋めなんです。
次に「アマチュア無線」とありますが、なぜ?「アマチュア無線を使って」と思うのでしょうね?無線と言うとアマチュア無線がメジャーだからですかね?
ガイダンスにも記載されていますが、「すべての通信が対象で、周波数やネットワークツールに合わせた活動隊が必要」なんですね。
特に、HAMはJARLさんが筆頭先となりますから、HAMで参加される方には、JARLさんと日赤さんの配下に付くよう指示してあります。
しかし、これは支援体制時であって、当事者となった場合には、「ワラをもすがるツール」として活用しなくてはなりません。
そこで、「何を使い、何MHzで、誰と交信できるか」をクリアする為に、各々が求めて行くこととなるのです。これが、自助への第一歩となり、仲間の助けが必要!と言う部分で「共助」へつながって行くのです。
当然、自らの囲みを厚くすることにより、スタッフ数にも反映されて行きます。
問題は、特定小電力トランシーバーのみを対象とされている方々です。近年では、デジタル簡易無線という5W級の代物も発表され、参加条件にも入っていますが、特小の場合は、2年の内にパワーのある無資格無線または、有資格無線に携わるように提示してあります。
開設当初から見えていた部分でもありますが、これも、参加者が「つながる仲間を求めやすくする要素」であり、つながってしまえば「助けてくれ!」も伝わりますし、つながる=生きている(怪我の有無も伝わる)となるでしょう。
要は、自身が助かる為のツールであり、ウエポンとして位置付けている事なのです。
さて、次に「土のうでも積みに行く」の件ですが、水害の場合、段階がありますよね。
A 気象情報「大雨洪水警報」発令
B 雨が大降りになってきた
C 河川の水位があがり始める
D 危険水位を超えるとなると避難勧告
E 土砂災害も併発する場へは、避難指示が発令
では、「土のう」はどの時点で手配されるでしょうか?
おおまかな流れを記載致します。
大雨洪水警報が出た時点で、「土のう倉庫」から、持出しの為の準備に入ります。その時点で「B」の状態です。
同時に、公土木と常備消防、消防団、水防団には、「水位警戒巡視」の指令が出されます。
では「土のうを何体、どこに持って行けば良いのか?」は、この時点では判断できませんよね。溢れる場所と崩れる場所が明確になりませんので、目的地への搬出するまでに至りません。
その頃、下流域では、道路への逸水が出始めます。
消防本部には「道路冠水・床下・床上浸水」などの情報が寄せられ始め、部分に土のうの搬入~設置となります。(大半が下流域です)
中・上流域では危険水位に達し、避難勧告・指示に該当する地域に、消防団が広報を開始。
公側に「広域水防情報」が寄せられ、過去に土砂災害のあった地域、或いは、都市防災計画で提示されている地域を「警戒地域」として選定、設定されます。
土のうが大量に出庫するのはこの時点です。
そして「決壊しそうな部分に土のうが到着」、積み上げとなります。
伝えたいのは、土のうが到着するまでの間にも、出来る事がある・やるべき事があると言う事です。
もちろん、積み上げにはそれなりの人員が必要なのですが、あえて言うと、公の部門と水防団、消防団が危険区域の最前線で活動します。
その分、住民には目を向けられていない事も事実なんですね。では、この部分は野放し??って事には出来ないでしょう。
そんな時に、危険区域の住民を誘いながら、避難誘導する方々が必要なのです。
そこで通信を軸にしている方々には、事前情報を得られる「防災無線」を傍受して頂き、その間に危険を察知して頂くこと。そして、避難誘導へのキッカケをいち早く得られる事。この2点が求められます。
あくまでも「土のうの積み上げ」は「土のう」が到着してからであり、それよりも、土のうが必要なくらい危険が迫っている事を、危険な場所に行かなくても知り得る事。そして、時差なく、周囲に危険を呼び掛けられる様、地域に「防災人」を置いておく必要があるのです。
電波は人が走るより速い!この伝達方法の利便性を高める為に、どの方面でも「通信(無線も有線も)」を活用する事になるのです。
災機にはこの要素がタップリ入っていますよね!
それと、水際での作業の危険性も知っておくことですね。
補償上でも、善意で行う事であっても、ボランティア保険では賄えませんし、単独ともなると、その場から姿が消えても誰も知らないわけですから…。
この事をご理解頂く為に、活動は複数名で、そして連絡手段を確保しての活動を。と約束事を作ってあるのです。
それから、文体から読み取りますと、「土のうでも積みに行く」となっており、外部からの支援をお考えになられているかに受けとるのですが、それは1人でも多くの方が居れば助かります。
しかし、そのエリアが数キロとなれば、人力では不可能ですよね。
その為に、自治行政では民間と提携し、重機を扱う事業者に依頼するのです。
この事でもお解りいただけるかと思いますが、総てをその方に背負わせると、どうなりますか?「ボラだから何でもできる、何でもしなければならない」では、長続きしませんよね。
そこはやはり、担当別けされた、専門の活動体が必要となるでしょう。
これらの経験を踏まえ、民防では、「犬」「二輪」「四輪」「施設」「重機」など、各々が操れる武器(資格や知識)を、活動素材・要素として持ち上げ、その中で「どのような動きを中心とするか?」を求めて頂き、構築して頂いています。
災機はたまたま、無線機を手にしているが為、通信が軸となって表面化しますが、逆に、他体に通信網が無い場合には、協働するなり複合組織にするなり、その活動に必要な部門を横並びに置き、互いに補えば良いのです。しかも、有事の際には「無くてはならない部門」だと言う事を付け加えさせていただきます。
タイトルが「通信」だからオペしかしないのでは無く、必ず、自らが被災する事になるのですから、自身が助かる為に「減災努力」も施しておかねばなりません。
つながる相手は、あなたが居るから通話ができるのです。
さて、参加者の皆さんは、この投稿をご覧頂いて如何様に思われますか?
この件で見えるのは、「三者からはそう受け取られる部分もある」と言う事と、「その方へは民防の意図をお伝えする術がない」という事です。
「民間防災」には、そもそも「災機」を名乗らないものの、通信を絡めてある活動もあります。多くは「複合」した活動隊です。
「救助犬」や「二輪隊」「四輪隊」も、タイトルとする基軸は「犬」「車両」「輸送」となりますが、この仲間内や案内・誘導する場面でも、「通信」は活用されますし、もちろん隊内でも必要でしょう。この辺りにも目を通していただければなーっ と思いますね。行ってる事を知って頂ければ、投稿頂いた方も仲間になってくれる存在に変わるかもしれません。
参加者の皆さんには、「民防の中の災機」をしっかりと受け止めて頂き、この程度の説明ができる存在になっておくと良いでしょう。
きっと投稿者もこれを読めば理解される事と思います。あとはご当人の必要性でしょうね。